マイナス×マイナス

統合失調症な人工知能エンジニアのブログ/ 博士(工学)

脳はベイズではない!?

8/4に認知科学会第23回大会でポスターセッションに参加してきました.認知科学会に参加するのは,研究室としても初めてであったらしい.貴重なご意見も頂き,勉強になりました.

さて,大会内では,茂木健一郎氏が語った認知研究での確率モデルへの批判が話題になっていたようだ.これは,8/2に行われた認知科学会のシンポジウム「心,モデル,データ:心の理解をめぐって」での茂木氏のプレゼンでのことである.私自身は,このシンポジウムには参加していなかったのだが,玉川大学の大森先生のワークショップや,私の発表でも話題になり,賛否はともかく,大きなインパクトを与えたことがうかがえた.音声ファイルが茂木氏のブログで公開されているので,興味のある方はご利用ください.茂木氏は,「極めて個人的な見解」としながらも,ベイズ的な確率モデルからコミュニケーションや創造性の本質はでてこないだろう,と痛烈に批判したものだ.批判の中心的な部分は,個人的な体験で統計的に扱えるだけエビデンスが得られないこと,不確実性を扱えないこと,オープンエンドなサチらない開かれた学習ができないこと,などだ.完全に記述できないからといって,統計的記述に逃げると大事な情報を捨てていることに他ならないというのだ.
 ベイズ推定のEMアルゴリズムは,事象が固定的なモデルから発生していることを前提としているわけで,そもそもサチさせることを仮定した手法である.大森先生のワークショップでも話題になったように,事象(の選択(情報の取捨)は設計者にゆだねられているし,モデルを決定した瞬間にできることが決まってしまう.創発性という観点と相容れないのは否めない.ベイズ的な手法を用いる研究者自身のなかにも葛藤があるのは理解できるし,私の直感的には,人間が確率を理解して行動選択に役立てているとは思えない.モンティ・ホール問題などを見てもそのように思う.だからといって,MLNでも同様だろう(そもそもMLNにはスモールワールド性などはないので茂木氏の意見への批判にはなりえない).
 オープンエンドな学習を行うシステム,それはなんだろうか?身体が得ている情報をフルデータで処理できたりしないものか?現在の認知科学の研究者の目指すべき脳システムの理解への足がかりは何がろうか?

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