マイナス×マイナス

メンヘラ人工知能エンジニアのブログ/ 博士(工学)

異邦人

先日の研究室模様替えの時に本棚のなかから,カミュの「異邦人」が出てきた.ところどころマーカーで線が引いてあるあたり,何かの授業の題材だったのだろう.
名作といわれるだけあり読み応えのある本だった.興味がわいたので「シシュフォスの神話」も呼んでみようと思う.

小説の最後のほうで刑務所の御用司祭が問いかける,「それではあなたは,何の希望ももたず,完全に死んでゆくと考えながら,生きているのですか?」ということばが印象的だった.主人公は即座に「そうです」と応じる.私も今ならはばかりながらも,そのように答えると思う.私はもう信じていないにしろ,司祭のいいたいこともわかるのだ.もちろん,それは作者の仕掛けの一つなのだろう.

余談だが,「異邦人」のアルベール・カミュセイン・カミュの大おじにあたるらしい.「異邦人」とセイン・カミュの印象とのずれに不思議な気持ちになる.