長期の抗精神病薬の服用が脳を萎縮させる
Arch Gen Psychiatry. 2011 Feb;68(2):128-37.
Long-term Antipsychotic Treatment and Brain Volumes: A Longitudinal Study of First-Episode Schizophrenia.
Ho BC, Andreasen NC, Ziebell S, Pierson R, Magnotta V.
論文へのリンク(英語)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21300943 (アブスト)
http://www.mentalhealth.freeuk.com/brainvolume.pdf (PDF)
mixiにも書いたけれど、こっちにも書いておく。今年の2月に「長期的な抗精神病薬の投与が脳を萎縮させる」という論文が発表された。ちなみに、アブストしか読んでいない。これを読む前は、脳の萎縮はむしろ病気による影響である、という認識だったけれど、じつは薬の副作用でした、というのは衝撃的だった。
概要は私が書くより、薬剤師であるhidex氏のブログの方が分かりやすいだろう。病気の重症度よりも抗精神病薬の投与のほうが脳の萎縮に強く相関しているというところが重要な部分だ。
http://blog.hidexp.net/?eid=168
これをうけて私の感想としては、「まあ、脳が萎縮しても仕方ないんじゃない。」というものです。実際問題としてルーランを飲んでいないと立ち上がれないほどの無気力感に苛まれるわけで、脳の萎縮というリスクをベネフィットが上回っている。きっとルーランを一生飲み続けなきゃいけないので脳萎縮は問題だ。論文の著者も
the importance of careful risk-benefit review of dosage and duration of treatment as well as their off-label use.
と言っている。不安感がでるからルーランを減らせないし、現状維持ってことで。
一方で、第2世代抗精神病薬が萎縮した脳を回復させるという論文もあるらしいけれど、こちらは詳細が不明。
http://mental.hustle.ne.jp/chie/read.cgi?no=4