電波と統合失調症
mixiに「統合失調症は電子洗脳」と宣う輩が出没して少し相手をしたけれど、やはり妄想には薬しか無いと感じた。エセ科学本の影響を受けてしまったよ うである。
- 作者: ニック・ベギーチ博士,内田智穂子
- 出版社/メーカー: 成甲書房
- 発売日: 2011/07/14
- メディア: 単行本
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で、本の著者の経歴を調べてみたけれど非認定大学のディプロマミルで Dr.を名乗っているらしい。
http://www.earthpulse.com/src/category.asp?catid=13
http://www.audiomedium.com/spiricomstudy/files/13c.pdf
もう、( ゚д゚)ポカーンである。
自分は統合失調症だ、と主張するのにもかかわらず中枢神経刺激薬であるリタリンを欲しがっていたり、かなり危ない感じである。さすがに、この患 者にリタリンやエフェドリン(ナガヱ)、モダフィニルなどを出すヤブ医者はいないと信じたいのだが…。彼は、なぜかサイバネティクスを信奉しているようだ。 twitterでも同様の主張を繰り返している。急性期バリバリと言う感じではないけれど、自己矛盾していることにも気づいていないようだった。上から目 線的な文章を見るに軽い誇大妄想もあるのかもしれない。普通に抗精神病薬治療を受けることを願うばかりだ。
ところで、統合失調症の妄想患者には電波と自分の症状を関連付ける患者が多いように思う。林公一先生の本とか、E・F・トーリ先生の本とか、NHKの特番とかでも電磁波によって幻聴や自我意識障害がもたらされていう妄想を持つ患者が多いようなのだ。これにはある程度納得できるものを感じる。
電波や赤外線の音声や映像を遠隔地に送れたり、機械をコントロールしたりする特性が症状とマッチするからだ。そこで自分も機械のように電波で「攻撃」されていると感じるのだろう。
ブレイン・マシン・インタフェースという研究分野があるにはあるし確かにこの分野はすごいと思うが、できることはかなり限定されている。まあ、マウスのドーパミン神経系に刺激を与えることで、マウスをラジコンのように操縦できるという研究はかなり「させられ体験」に近い気もする。しかし、この場合でも「なんかこっちに行くと気持ちいい」と感じるだけで、させられ体験のように自分の意思と反して身体が動かされているとは知覚しないだろう。
特に、「洗脳」のような任意の人に特定の思想を信じさせるようなことができるようになるのは、もっと先のことだろう。これは個々人の脳が同じ刺激によって同じ状態になるわけではないことからもわかるだろう。もっと先のこととは言え、いつかは実現できる可能性があるところが恐ろしいことではあるが…このへんは科学倫理の分野だろう。