「経済成長神話の終わり 減成長と日本の希望」
今日はアンドリュー・J.サター著「経済成長神話の終わり 減成長と日本の希望」を紹介したいと思います。
経済成長神話の終わり 減成長と日本の希望 (講談社現代新書)
- 作者: アンドリュー.J・サター,中村起子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/03/16
- メディア: 新書
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著者は経済学者ではなく法学者です。私の思想と近くて共感できた本でした。
- 一人あたり平均GDPは上がっても、世帯所得の中央値は下がっている。
- 経済成長を目指す「効率化」は失業者を増やしていく。またサービスの低下を招く
- 経済は無限に成長できるという思想は誤り。いわゆるサステイナブルグロースにも批判的見解を示している。
- 実経済をおいて膨れ上がった金融市場に対する批判。
- GDPの成長ではなくHDIなどの「幸福度」の成長を目指すべきだ。
そのような点を批判し「減成長によ繁栄」を目指すために幾つかの提言をしている。
- 「生産性」から「質」へ
- 「産業的」「操作的」ツールから、「共生的ツールへ」
- 「創造的破壊」から「耐久性」へ
- 壊れやすい製品を作るのではなく、耐久性の高い製品をつくる。環境にもよい
- 依存から安定へ
- 東京一極集中から、地方へ
- 排除から共有へ
- 知的所有権でがんじがらめにするよりも、共有できるライセンスへ(オープンソース、クリエイティブ・コモンズ」
- 家電製品などをコミュニティで共有、リースできる仕組みを
- 切迫感から熟考へ
一方で、今の日本が抱える問題、社会保障費の拡大、少子化、などに対する解決策が十分に提示されているとは思えなかった。著者の唱える「減成長による繁栄」のための方法は抽象的なものが多く、具体的な提示ではない。
しかし、我々が目指すべき目標は果たして「経済成長」なのだろうか?一人ひとりの幸福度や地球環境の維持なのではないか、という主張には大いに共感する。問題はどうやってそれを手に入れるのかだ。