マイナス×マイナス

メンヘラ人工知能エンジニアのブログ/ 博士(工学)

音声エンジニアとして働き始めて一月たった

 もう6月も終わりです。6月のはじめから働き始めて、これで1月たったことになります。いろいろありました。

 本当は7月からしかお給料発生しないのでしょうが、6月にも初任給が振り込まれてたいへん助かっています。

 お仕事の内容を話したいのですが、お仕事で知ったノウハウは話しちゃいけないことになっているのであまり話せません。基本的に私がやっているのは認識の高速化です。これはなかなか論文のテーマになりにくい分野ではないでしょうか。大学か高専に行きたいなと思っていたのですが、企業に来てよかったと思っています。

 企業にきてちょっとわかったのがコンピュータサイエンスの分野における資金力の影響です。XeonOpteronのマシンが何台もあるのです。一研究室ではちょっと想像できない規模です。音響モデルの作成や評価には長い時間がかかるものです。それを条件を変えながら一つのマシンでやっていたのではそれだけで何週間か何ヶ月か、かかってしまうものです。でも資金力があれば違います。スクリプトにかけて、何台ものマシンで並列でやればいいのです。また、国立大学ではなかなか1台数百万するようなマシンは買えないものです(競売になります)。大企業じゃないのですが、一研究室と比べると規模が違います。

 そして、企業に来て感じた壁が「特許」です。やってみようとおもった技術が特許登録されていたり出願されていたりするのです。新しい技術というのはなかなか生まれないもので、基本的にはすでにあるものの組み合わせであることが多いです。なので少しかじっていると先人と同じことを思いつきます。でも、思いつくだけではだめなのです。誰よりもはやく思いつかないといけないのです(このあたりは論文も同じですけれど)。ライセンスすればいいと思うかもしれませんが、特許が競合他社に押さえられていた場合は手の出しようがありません。この競合他社というのがGoogleマイクロソフトなのですから、なかなかつらいところです。

 企業からは生まれにくい技術もあるだろうなとも思いました。どうしても期限があってそれまでに完成させないといけないので挑戦するのがちょっと難しいのです。きちんとした研究所を持っているような企業でないと論文や特許をばりばり書いていくというのは難しいのかもしれません。